死んだのは私なのに勇者様の様子がおかしい - 第67話

死んだのは私なのに勇者様の様子がおかしい

幼馴染の勇者エルキナスの代わりに魔竜のブレスを浴びて死んだ私、アレンヌ。 彼が素敵な女性と結婚し、余生を幸せに暮らせるなら甘んじてこの死を受け入れよう……と思っていたのに。 目を開けると80年後、私は新しい身体に生まれ変わっていた。 勇者はどうなったのだろう？　過去を受け入れて、幸せになれたのだろうか？ しかし帰ってきた答えは── 「勇者は狂ってしまった！」 なんと、私たちの宿敵である魔竜の卵を持ち帰り、育てているらしい。 もちろん、それには大勢が反対したが、止めようとした者は容赦なく彼に殺された始末。 闇落ちしてまで卵を持ち帰った理由。 それは、時空を超えられる魔竜の能力を使って過去に戻り、「私の死」を変えるためだった…!? こうなったら大切な親友を助けるべく、正体を隠して近づくしかない！ とある伯爵の娘に扮し、貴族の生活に順応しようと奮闘する毎日を送ることになったが、そんな私の姿を見つめる勇者の視線とその意味を、この時の私はまだ知らなかった──。